書評のようなもの(仮)

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ダイヤモンド・エイジ/ニール・スティーヴンスン

ダイヤモンド・エイジ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ダイヤモンド・エイジ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

 
ダイヤモンド・エイジ〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

ダイヤモンド・エイジ〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

 

ニール・スティーヴンスン四作目。ポスト・サイバーパンクの書き手として注目を集めた前作の「スノウ・クラッシュ」では、高度化したVR(仮想空間)が社会に浸透しきった近未来を舞台にしたSFでしたが、本作はそのナノテク版といった感じ。VRのかわりに、ナノテクが発達し、それが社会の基盤となる世界を描いてます。技術的には、原子同士を組み合わせてあらゆる物質を人工的に一から作ることさえ可能になった時代で、宝石すらも機械で組成できるのだそうだ。

もちろん、それほど発達した技術を基盤にした近未来となると、社会だって現在とは全く異なっており、本作には、まず国というものが存在しません。かわりに、宗教や思想や趣味といったなんらかの共通点を持つ人々が集まり小さな組織を形成して生活してます。

この「国家が崩壊した世界」という設定は、「スノウ・クラッシュ」でもお馴染みですが、何故そうなったのかは前作と同様、よくわかっていなかったり。とにかく設定が凝りに凝っていて全部を把握しきれていないのです。

そんな何もかもが変貌しきった世界で描かれるのは、少女の成長物語と、「物語の可能性」というテーマです。一冊の電子絵本との出会いが、彼女を成長させ、やがては世界すらも変えてしまうといった話は、本書が初めてではありませんが、何回触れても響くものがあります。似たようなテーマを持つSFならば、山本弘さんの『アイの物語』がオススメです。ストーリー全体を貫く力強いメッセージに圧倒されます。

アイの物語 (角川文庫)

アイの物語 (角川文庫)