書評のようなもの(仮)

SF、ラノベ、漫画、音楽なんかの記事をgdgd書いたり、DTMして遊んだり。

Gene Mapper -full build-/藤井太洋

Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)

Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)

 

話題の電子書籍の文庫版。電子書籍の方も購入してはいたのですが、大幅に加筆&修正したこちらの方が読みやすくなっていますし、サスペンス仕立てのバイオSFとしてもとっつきやすい内容になっていると思います。

舞台は、遺伝子工学と拡張現実が高度に発達した2037年の近未来。現在から24年後の世界を描いているため、登場するテクノロジーは空想的な産物ではなく、むしろリアリティがあります。遺伝子組み替え操作を発展させ、人工作物を遺伝子レベルで一から設計する技術や、現実とほとんど区別のつかない拡張現実が当たり前のように社会に浸透した風景など、緻密な描写に目を引かれます。検索プログラムの暴走でインターネットが封鎖され、かわりに「トゥルーネット」という新しいネットワークが主流になっているのも印象的でした。

そんな近未来で、作物の外観を遺伝子操作で設計する「ゲノム・デザイナー」の主人公が、世界の今後を左右するほどの大事件に巻き込まれていきます。何でもないような些細な事件の謎が深まるにつれ、どんどんスケールアップしていく物語は、息つく暇がないほど夢中にさせられ、飽きがこない。
扱うテーマも物語の規模と同様、巨大で、興味深くあります。主人公の最後の決断は、ちょっと前に読んだ『バイオパンクーDIY科学者たちのDNAハック!』を彷彿とさせるものでした。

バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!

バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!