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書評のようなもの(仮)

SF、ラノベ、漫画、音楽なんかの記事をgdgd書いたり、DTMして遊んだり。

Another/ 綾辻行人

Another(上) (角川文庫)

Another(上) (角川文庫)

 
Another(下) (角川文庫)

Another(下) (角川文庫)

 

綾辻さんの小説を読むのは『十角館の殺人』以来ですが、本作は、それほどカッチリした本格ミステリではなかった。たしかに、ミステリとしての仕掛けもあるのですが、それと同じくらいホラー風な要素が絡んでいたりします。なので、物語の謎にあたるいくつかの箇所が、ホラーらしく曖昧なまま幕を閉じてしまう、なんてこともあります。全ての謎に納得のいく解答が用意されている明快な物語ではありませんが、これはこれで良いのかもしれない。

物語は、学園の不気味な噂のとおりに発生する事件の謎を中学生の二人が解決していくというもの。身も蓋もない噂が現実となって生徒達を巻き込んでいく過程は、スリルがあって楽しくもあるけど、恐くもあった。予言のごとく的中する噂を誰もが真実のように受け入れてしまうあたりなんかは特に。

会話の中に、ノストラダムスの予言の話がちらっとでてくる箇所があるのですが、これも意味のない話題ではないように思えます。本作の場合は、予言ではなく噂なのですが。とにかく、それが実際に現実になってしまうと、その噂と現実のあいだに何らかの「意味」を読みとって不安になる。ただの偶然かもしれないのに無理にでも関連付けようとする。登場人物達のそうした心理が印象に残っています。

主人公の場合は、噂に対して半信半疑なので、本当に、「何が真実で嘘なのかわからない」という立場に立たされています。そんな彼でも唯一信じられたのがヒロインであるあたり、ジュブナイル的で癒やされました。

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)