読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

書評のようなもの(仮)

SF、ラノベ、漫画、音楽なんかの記事をgdgd書いたり、DTMして遊んだり。

言語都市/チャイナ・ミエヴィル

SF

言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)海外で話題沸騰中のSF作家・チャイナ・ミエヴィルの新作。海外のSF賞を総なめにした前作『都市と都市』を読まずに本作のほうを先に手に取りましたが、相変わらず本が分厚い。490ページの二段構えに文章がびっしりと書いてあります。ミエヴィルといえば何年か前に読んだ『ペルディード・ストリート・ステーション』もモンスター級の小説でしたが、今回もそれに負けてません。翻訳が読みやすいのが救いといえば救いですが。

 本作は、惑星アリエカに住む異星人と人類が交流し、新たな共存をなし遂げるまでの道筋を壮大に描いた物語です。異星人と交流するために彼等の特殊な言語を研究する人類の様子が細かに描いてあるように言語をテーマにしたSFでもあります。

この言語に関する設定がかなり凝っていて面白いです。二つの口から同時に発話することで仲間と会話する異星人は、どういうわけか、仲間から受け取ったゲンゴ(異星人語)の根幹にある精神からその言葉の意味を理解するのだそうです。つまり、ゲンゴを発する相手が精神を所有するものでないと彼等とは会話することすらできません。研究を進める過程で人類はゲンゴを話す機械を開発して会話に挑戦する場面があるのですが、精神を持たない無機物では話が通じないどころか、認識すらされないのです。

また、彼等は嘘がつけず事実しか語ることができないという変わった性質の持ち主でもあります。

そんなやっかいな言語を扱う彼等にどうにか接触を試みようと人類は試行錯誤を繰り返した結果、生み出されたのがオリジナルと脳の思考を共有するクローン人間! いったい、なんなんだそれは! という感じではありますが、この者達こそ異星人との交流はおろか、惑星アリエカの破滅と未来を握るキーパーソンなわけです。

キーパーソン等の登場によって始まる「言葉による異星人達の操作」は、伊藤計劃の『虐殺器官』を彷彿とさせますが、 その操作が招くパニック展開は、物語の大きな転換点にもなっていて、どんどん話に引き込まれていきます。言葉の発達とともに進化していく異星人達の姿から目が離せなくなりました。

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

 
ペルディード・ストリート・ステーション (プラチナ・ファンタジイ)

ペルディード・ストリート・ステーション (プラチナ・ファンタジイ)

 
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)